〜コラム的な戯言1〜






3点?

ドラムで「3点」と言うと、ライブのモニターなどから返される音で重視される 「スネア、ハイハット、バスドラ」を指す場合と、2つあるタムタムのどちらか 一つを外す「3点セット【ハイ(ロー)タム、フロア、バスドラ】」を指す場合が ありますが、今回は「3点セット」について考えていたことをつらつらと 書きたいと思います。

3点セットの魅力は、なんと言っても「叩きやすさ」があると思います。
多くの場合、3点セットではロータムを外し、ロータムがあった空間に ライドシンバルを設置します。ライドシンバルが横から前方に移動する ことにより、操作性がかなり上がります。
ツータム方式では左手でライドを叩くのがちょっとキツイですが、 これなら無理が少ないため、16などもやりやすいですね。

そしてもう一つの魅力は「見栄えの良さ」でしょう。
これはそれぞれの主観にもよるかと思いますが、ハイタムとロータムが 横にデンデンと並んでいるのは若干無骨な感じがしなくもないです。 それに比べて3点はクールですね。
ちなみに僕はツータム派ですが。
ロータム部がライドに変わるので、お客さんからもドラマーが見やすいですし。
プロのバンドのドラマーでも、3点セットを基本にする方が相当数いらっしゃいます。 尊敬するプロが3点セットだから自分も3点セットにする。という人も 多いのではないでしょうか。
ちなみに3点セットのやり方も様々で、ロータムを外した後にそのロータムを ハイタムと交換したり、ロータムを外した空間にライドを持ってこないで スプラッシュをつけたりする人もいます。外したロータムをハイタムと交換し、 そのハイタムをロータムの左隣にスネアスタンドを使って設置する (なんか文章にするとややこしいですね)「ツータムだけど3点風」にする人も 良く見かけます。

僕は習っていたドラム教室の先生が3点セット否定派だったのも影響して いますが、普段手数系の練習をするときにツータムが必要なので、バンド練や ライブでもツータムにしています。
3点セットの見た目に憧れるときもありますが、ツータム・3点セットどちらでも 関係なくカッコよく叩けるドラマーを目指したいものです。

チューニング

私はドラムのチューニングが苦手です。
正直音色の違いがよくわかりません・・・。
ライブのリハーサルのときなどに、他のタイバンのドラマーがスネアを チューニングしているのを見ると、とてもかっこいいなと思ってしまいます。

初めて私がチューニングというものに触れたのは、ドラムを始めたての 寮生活をしていたころでした。
その場所は陸の孤島とも呼べるような場所で、ドラムのチューニングのやり方を 知っている人が一人もいませんでした。
今考えるとロータムがハイタムより高い音だった気がするし、そもそもチューニングキー すらありませんでした。
そんなある日、その寮の施設のドラムセットが壊れたことがあり、隣り町の楽器屋さんが 来てくれる機会があったのでついでにチューニングのやり方を教えてもらうことができました。
そのとき教えてもらったやり方は、

○ハイタムを「ソ」の音、ロータムを「ミ」の音、フロアを「ド」の
 音に合わせる。
○トップ(タイコの打面側)とボトム(タイコの裏側)のチューニングを
 ピッタリにするときに一番音が抜ける。
という2点でした。当時は「音が抜ける」ってなんのことだ?というレベルでしたが、 ありがたく見様見真似で実践させてもらいました。
そのときはそれがチューニングのほとんどだと思っていましたが、しばらくたって 様々なドラマーや教則本に出会い、チューニングは限りなく奥の深いものであることが わかりました。
はっきり言ってチューニングは例え同じジャンルであってもドラマーによってやり方が かなり違い、「正解」というものが無いようです。

そんな中で、私が今まで見たり聴いたりしたチューニングについての情報には次のようなものが あります。ちなみに僕が言うのもなんですが、信憑性は高くないので悪しからず・・・。

○ネジを締める順番は、締めたネジの隣り・隣りへ移動していく
 のではなく、タイコの中心に対して対角に近い場所のネジを
 締めるように移動する(一つのネジの締め・緩めは他のネジの
 締まり方に影響を与えるため、できるだけ均等になるように)。
○ヘッドで、ネジの近くを叩いてそのネジの締まり具合を聴き取り、
 他のネジ付近と音が均等になるように調節していく。
○↑の調節を行うためのスティックは、ティンバレス用の
 スティックが良い。
○スネアのヘッドを新品に交換した際、ヘッドが馴染むまで時間が
 かかるので、あらかじめ張りなおしたときにスネアを床に置き、
 そのまま足でヘッドを踏んで馴染ませるやり方がある。
○ボトムのスナッピーに隣接した4つのネジを少しだけ締めて
 (緩めて)スナッピーの響きをヘッドの方で調節する。
○スネアのチューニングで、屋内で演奏するときに比べて屋外で
 演奏するときはネジを緩めて低い音にした方が良い
 (壁からの音の跳ね返りがない関係らしいです)。
○ハイタム、ロータム、フロアを無理に「ソ、ミ、ド」に合わせる
 必要はない。
○トップよりボトムを強めに締める人が多い(今は私もそうしてます)。
○ロック系の楽曲でのバスドラは、かなりユルユルのチューニングに
 した方が良い。
こんな感じですかね。
僕の勝手なイメージでは、ロック系で微妙なチューニングが演奏の良し悪しに 影響するのは極めて高いレベルでの話で、僕くらいのレベルではまだまだ無縁な 気がします。ライブとかで人の演奏を見たとき「あのドラムいい音するな〜」 と思えるようなときは大抵ドラム自体のチューニングが良くされているから。 ということはまずなく、演奏者自体が単純に上手いから。という場合がほとんどです。
しかし例えハッタリでも、リハーサルとかでチューニングしてるフリをして カッコつけたいというのも正直なところではありますが・・・。

ケガ

ハードなドラムを演奏する機会が多ければ、体を痛めてしまうこともあるかと思います。
特に避けて通れないのが手首の「腱鞘炎」であり、完治しないまま叩きつづけて いつまでも苦痛の伴う練習が続いてしまったりします。
最近はあまりありませんが、私もこれにかなり苦しめられました。
湿布でグルグル巻きにしたり、バンテリンを塗りたくったりとかして治そうとしますが、 結局練習でテンションが上がってしまって 叩きすぎてしまい、状況が悪化するというのがよくありました。
現在も日常生活には支障がありませんが、普通の腕立て伏せとかで90°近くに 曲げたまま負荷をかけると、手首に痛みが走ってやりたくない感じです。

腱鞘炎の他にもよくあるのが指の水脹れとか血豆ですね。


手数王の菅沼孝三大先生は、クラッシュを叩いたその手でそのクラッシュをつかんで ミュートする奏法をよくおやりになるそうですが、1ヶ月に一度くらいクラッシュが 爪の隙間に食い込んで流血されるらしく、「月経ドラマー」であるとおっしゃっていました。

武士は「一日修行を怠れば、それを取り戻すのに三日かかる」と言って自分を戒めたそうです。

まあプロでもないのにそこまでストイックに練習してる人も少ないかとは思いますが、 どちらにしろケガで長期間ドラムを叩けないのはつまらないことですよね。
日常生活でのケガは仕方ないとしても、演奏により起こるケガの防止は「練習法」の一環だと 思いますので、気合が萎えない程度には気をつけていきたいと思っています。

あー、なんかじじ臭い・・・。

スティックの折れ方

私がドラムを始めたての頃は、主にハイハットやクラッシュによってスティックが 削られ、削られて細くなっていつか折れる。といった感じでした。
私は軽音楽のサークルに入っていたので、練習をする部室には先輩の器材やスティック なども転がっているわけですが、先輩ドラマーのスティックの折れ方があきらかに 自分の折れ方と違うのに気付き、ビックリしたのを憶えています。

ロック系のドラムである程度パワーがついてくると、スティックは削れて折れるの よりも早く、真ん中らへんがささくれてきて、ささくれが限界に達した時に折れる ようになります。
スティックの材質にもよると思いますが、スティックのしなりで吸収しきれないほどの パワーがついたときにこの現象が起こり始めるようです。

先輩のようにこのスティックの折れ方が始まりだしたときはとても嬉しかったです。
しかしかと言って、パワーがついてスティックがポキポキ折れてしまったのでは かなりの手痛い出費となります。
そこでスティックがささくれるだろうと思われる部分にあらかじめテーピングを 巻いておけばスティックの寿命が少しでも延びるのではないかと考え実践したことも ありましたが、結局衝撃を逃がしきれなかったようで、結果さらに早くスティックが 折れてしまうという実験結果となりました。・・・非常に残念でした。

ライブなどの重要な局面でスティックが折れるというのも日常茶飯事なことなので、 出費以外にもスティックの折れ方には上手に付き合っていきたいものです。

あと私の勝手な想像ですが、冬は乾燥しているのでスティックが折れやすく、 夏は湿気が多いので比較的折れにくいようです。

・・・当たり前か。

ウォーミングアップ

格闘家が試合の前に軽く汗を流すように、特に速いドラムを要求されるような ライブではウォーミングアップがとても重要だと思います。
ときどきそういう人を見かけますが、どんなに上手くてもウォーミングアップを まったくせずにステージに上がり、1曲目はいまいちで2、3曲目からやっと エンジンがかかってくる・・・。というのはとてつもなくもったいないですよね。 初めてそのバンドを見る人にとっては、1曲目のインパクトがとても記憶に残り やすいと思いますので。
また、緊張と興奮のために普段練習しているスピードよりも数段速い演奏をして しまい、手が追いつかずにツりそうになるような事態が良くありますが、そのような 症状も緩和してくれます。
ウォーミングアップの方法は、入念なストレッチからスティックを使った筋肉ほぐし までたくさんありますが、私がよくやっているのは、
「実際にライブでやる曲の中で一番速い曲を控え室で叩いてみる」
ということです。
まあ控え室にウォーミングアップ用のドラムセットが置いてあることはまずないので、 イスや持参の練習パッド、靴等を叩きます。今のところこれが最も効果が高いと 感じているのですが、もっと効率の良さそうなウォーミングアップ法があれば是非 教えてください!


「足し算」的要素と「かけ算」的要素?

どんなことでも、上達する過程には「足し算」的要素と「かけ算」的要素が あると思います。
つまりコツコツとした反復練習等を繰り返して積み重ねていくのが「足し算」。 なにかの「きっかけ」等で飛躍的にレベルアップするようなことが「かけ算」 となりますか。
「足し算」を重ねていくのは当然重要ですが、「かけ算」を意識しない手は ありません。
僕自身が未熟なため、自信を持ってお伝えできるような「かけ算」はないのですが、 ドラム生活の中で、あきらかに「これかけ算だ!」と思えるような瞬間があります。 そしてそのほとんどは「意識」の持ち方でした。
例えば根本的なリズムのとり方や、体全体のバランス、フォームに対する意識が 改まったときなどがそれに当たると思います。

また、身体的な上達以外にも、道具による「足し算」、「かけ算」があると 考えられます。
器材一つ一つの良し悪しは「足し算」につながりますが、ドラム演奏の要となる イスがグラグラしたりしてまったく実力を発揮できないような場合は 「かけ算(わり算)」になったりします。

他にもたくさんの「足し算」的要素と「かけ算」的要素があると思いますが、 それぞれを意識できれば上達の速度にも大きく影響するのではないでしょうか。

ライブのときの心構え

僕は極度の小心者であるため、ライブのときの心構え一つがその日のビールの うまさに大きく影響します。
そしてひどく失敗して落ち込んでしまうような場合は、ほとんどが実力以上の ものを無理矢理出そうとしてリキみすぎたりカラ回りしてしまったときです。
何回も何回もこの過ちを繰り返し、何回も何回もメンバーに迷惑をかけて しまいました・・・。
120%を出そうとすると結局30%も納得できず、かと言って80%くらいに抑えようと してもライブでは緊張してしまって自分の80%がわからない。
・・・何度もドラムを辞めてしまおうかとも思いました。
そんな僕ですが、膨大な挫折の末に自分自身の実力を発揮しやすい心構えというのを 見つけました。

それは「実力を誰にも見せてやらないぞ」という少々傲慢なものです。

ここで話は少しそれますが、人間には「見えない部分を想像で過大評価する」 というような考え方があるようです。
例えば男性にとって全裸の女性よりも、実は多少布状のものを身にまとっていた方が 興奮するようなものですか。はい。すいません。

しかし見えない部分をあえて作ることで、その見えない部分を見ている人に想像させ、 実際以上のものを感じさせるというやり方は確かに存在します。
ドラムの動きにもおそらく同じことがあるのではないかと思われ、実力を出さない 心構えでやればその分自然と余裕が生まれ、その余裕が実力以上の過大評価を生む のではないかという事です。
また、聞こえは悪いですが本気でやらなくて済むので精神的にも余裕が生まれ、 リキんだりカラ回りしてしまったりすることも起こりにくくなります。

これが私の現時点での最良の心構えですが、ちょっと情けないのでいつかはもう少し イケてる心構えを見つけたいものです。

タコ

空手家の拳に拳ダコができるように。

熱心に勉強する受験生の指にペンダコができるように。

私の中指に麻雀の盲牌ダコができるように。

ドラマーのみなさんの手にもドラムダコがあるかと思います。

シャーロック・ホームズは握手しただけで相手の職業を当てることができると本に 書いてあった気がしますが、握手しただけで「あなたドラマーですね?」なんて 言われたら、ちょっと感動ですよね。

前に私が参加させて頂いた、そうる透先生のドラムクリニックで、先生は受講して いる一人の手を取り、

「あー、こんなに大きなタコを作ってるってことは無駄な力が入り過ぎてるんだよ。」

とおっしゃっていたこともあり、一概にタコができれば良いということではないかと 思いますが、たくさんの練習の末に何回も水脹れや血豆ができ、それを乗り越えて 硬くなったタコには多少ならず愛着を持ってしまいます。

そのうち無駄な力が抜けて手の平全体でスティックの衝撃を吸収させるようなことが でき、タコができなくなってしまうような日がくるのでしょうか。
それもかっこいいですね!

裸足派

私はドラムをプレイするとき、必ず裸足になります。
自分のペダルの塗装が削れた部分には足の指の跡がくっきり残ってしまっています。

裸足のきっかけは大学の寮生活時代、普段の生活で履いていたのがほとんどサンダル であり、スタジオにもサンダルで行ってしまうことが多く、サンダルよりは裸足で 演奏した方がやりやすかったので自然と裸足派になってしまいました。

足の裏のツボが刺激されて健康にも良さそうですしね。

また、靴だとその靴に慣れてしまって、新しく買い換えたときにとても違和感が あるんじゃないかと不安になってしまうのです。

一度スタジオにガラスの破片が落ちていたことがあって、気付かずに踏んで痛い目に 遭ったときは裸足やめようかとも思いましたが、今では手のタコと同じように、 足の裏の硬くなった部分が自分がドラマーであることの証明であるような気がして、 小さな小さな誇りでもあります。
あと裸足ドラマーはBobby Jarzombek、東原力哉さんが有名みたいです。