〜コラム的な戯言2〜






ジャズ育ち?ロック育ち?

ロックドラムで育った人が、ある日ジャズの魅力に目覚めてその日以降 ジャズドラムしか叩かなくなったとしても、その人に染み付いた 「ロックのノリ」みたいなものは根底に残り、ジャズを叩いていても ロック出身であることがバレてしまうと言います。
そして逆のケースでも同じことが言え、ジャズ出身者のロックドラムもまた 「ジャズのノリ」がわかってしまうとのことですね。


鳥類に多くある性質で、卵から生まれたときに最初に見た動くものを親と 思ってしまう「インプリンティング(刷り込み)」というものがあるのは 有名な話ですが、人間のリズムの取り方にも似たようなことがあって、 最初に触れたリズムの取り方をその後もずっと覚えていて、その後に 出合ったリズムにもついつい応用してしまう。というようなことが あるのではと考えてしまいます。


ところで不真面目なロックドラマー(私も含めて)ばかりに囲まれていると、 「ジャズのドラマーって巧いですよね〜」みたいな話題が時々あがります。

私のいた学校では、ロック系のサークルとジャズ系のサークルが合同で ライブを行う機会が年に数回あり、確かにそれを見る限りでは

「ジャズドラマー > ロックドラマー」

という不等式が成り立っていると思われても仕方のない内容でした。

普段からあまり練習をしないロックドラマーが、勤勉なジャズドラマーを 見たときに「ジャズのドラムってなんであんなにすごいんだろう!?」 と感心している図はそのようなライブのとき以外にもよく見かけてきましたが、 はっきり言って単純に両者の練習量に差がありすぎるというのがそもそもの 原因のような気がします。
もし練習量が同じくらいならば、よほど偏った練習を行わなければ「巧さ」 と言う点でそれほど違いは現れないと思うのです。
私は正直

「ジャズドラマー > ロックドラマー」

の不等式は否定したいのですが、

「ジャズドラマーの練習量 > ロックドラマーの練習量」

というのは非常によく実感していました。

超絶テクのロックバンドのドラマーが実はジャズ出身なんてこともよくあり、 イメージとしてロックドラマーよりもジャズドラマーの方が優れていると 考えている人が多いようなのですが(そもそも長所と短所があまりに違うので 比較できるものではないとも思いますが)、決してそんなことはないと 少なくとも私は信じています。


つまり何が言いたいのかと言うとですね、
もしロック出身かジャズ出身かによって、その人の「根本の性質」みたいな ものが一生決定付けられてしまうとしても、そのことが今後の練習の効率に 影響するなんてことは考えずにやっていきたいと思うんですね。

そんだけです。はい。


ところでロックドラマーVSジャズドラマーの討論の様子は2chとかでも よく見かけられますので、暇なときにでも覗いてみたら面白いと思います。

ライブと酒

ライブのときは当然のごとく酒を入れてからステージに上がっていた 時期がありました。

多少酔っ払っていた方がライブを楽しむことができると思ってのこと でしたが、技術的な面で見たライブで得られる「経験値」を思うとやはり シラフの方が頭に残りやすいし、単純に酔っ払って演奏が雑になるのを 避けるために今は酒を飲まずにライブをやることが多いです。

しかし「最高に楽しかったライブbest10」みたいなのを考えると、 ほとんどが酒が入っていたときであるのも事実ですので、 今後も経験値を重視するか、楽しさをとるのかは悩まされそうです。

理想としては、酒が入っていなくても最高までテンションを上げることが できたりとか、逆に酒が入っていても演奏が雑にならないとかできないもの かなと思ってしまいます。

まあ自分の都合だけで考えるとこの辺が重要な要素である気がしますが、 やはりライブでは見てくれているお客さんがどう感じるかというのも 考えなくてはいけないものだと思います。

酔っ払っているかシラフかで、「どちらがいいライブができるのか」という テーマにはあまりに複雑な要素が絡むので人によって意見が異なるかと思いますが、 私なりにメリットとデメリットみたいな感じで考えてみると、


まず「堅さ」がとれる。と言う点。
単純に気分が高揚して緊張感を和らげるというのももちろんあると思いますが、 よく日常生活で耳にする話で「酒を飲んでいるときはケガをしにくい (階段から落ちたり道で転んだり等)」というのがあったりして、 「筋肉がリラックスして柔らかい状態にある」というのが利点につながる 場合が考えられます。


そして酔っ払っているということ自体がお客さんのテンションを左右する点。
これは空気を読み方とかテンションの上げ方とか、時と場合によって プラスにもマイナスにも転じるものだと思います。


あとは演奏の雑さが直接伝わってしまう点。
酔いによってメンバーの脳がトランス状態になり、シラフ時より優れた 演奏ができる。というようなことはほぼ幻想だと思います。 あとでライブを録音した音源を聴いてみればわかるはずです。 しかし演奏が雑な方が逆に盛り上がるというケースも多々ありますので、 プラスに転じることもあるようです。


・・・などなど、考え出したらきりがありませんね。

でもまあ、そもそもそんなに深く考えるテーマでもないんでしょうか。

ライブのときのアクシデント

年間数百本のライブをこなす人もいれば、何年かに一度のライブのために 一生懸命練習する人もいるでしょう。
しかしどちらにしろ、見てくれているお客さんがいれば自分のもっているものを 最大限に発揮したいという気持ちは変わらないはずです。キラキラな心意気ですね。

そんな中、その気持ちを嘲笑うかのように粉々にしてしまうもの・・・。
それがアクシデントです。

もちろん経験や知識により未然に防げるものばかりですが、予測していなかった からこそアクシデントと呼ばれると思うので、いつもきっちりアクシデントに ボロボロにされた後に学習していきます。

ではアクシデントとして、発生の確率が高いものにはどんなものがあるでしょうか。 人から聞いた話に私の経験を踏まえて書くと、

 ○スティックが飛ぶ。
 ○スティックが折れる。
 ○シンバルスタンドがボロく、叩いているとシンバルの角度が
  どんどん変わる。
 ○タイコ系のヘッドが破れる。
 ○タムホルダーがボロく、叩いているとタムの角度がどんどん
  変わる。
 ○スネアスタンドがボロく、叩いているとスネアの角度が
  どんどん変わる。
 ○マイクスタンドがボロく、マイクの位置がどんどん低くなる。
 ○スローン(イス)がボロく、高さがどんどん低くなる。
 ○ペダルのビーターが折れる。
 ○ハイハットスタンドがボロく、オープン・クローズがうまく
  いかない。
 ○演奏中に体のどこかをぶつけ、ケガをする。
 ○演奏中にメンバーが飛んでくる。
 ○メンバーが曲の構成を間違える。
みたいなのが多いですかね。でもよくよく自分で書き連ねたものを読み返してみると、 ほとんどアクシデントとは呼べないものばかりですね。
しかしまったく心構えができていなければ、ビックリして演奏を止めてしまう 危険のあるものばかりです。

ある程度経験を積めば上記くらいの出来事は日常茶飯事ですので、演奏を止めて しまうこともないかと思います。
器材の不具合に関しては、ライブハウスの備品で一度痛い目に合って、自分用の ものを購入した人もいるでしょう。私もまさにそうでしたが・・・。


しかし想像すらしていなかったアクシデントでも、それが起こる可能性は 常に潜んでいます。
私の友人のドラマーで、演奏中に犬に襲われたという話も聞いたことがあります。

発生頻度の高いアクシデントに備えること以外にも、どんな状態でも演奏を 乱さない鉄の心構えというものは一つのドラマーとしての技術と呼べるかもしれませんね。

グリップ

スティックの握り方には様々な種類があり、それぞれ長所と短所があります。

大きく分ければ、親指・人差指の間と中指・薬指の間にスティックをはさむ 「レギュラーグリップ」と、普通にわしづかみする感じの「マッチドグリップ」 があります。
私も含めて私の周りはマッチドグリップが大多数でした。
またマッチドグリップにも様々な種類があり、手の甲を上にする「ジャーマングリップ」、 親指の爪を上にする「フレンチグリップ」、ジャーマングリップとフレンチグリップの 中間の「アメリカングリップ」があります。
ジャーマングリップでのストロークは「かぶせ打ち」とも呼ばれ、最もパワーが出ます。 両方の手にスティックを握ると、スティック同士が「ハ」の字になります。
フレンチグリップは操作性が高く、繊細な演奏に向いていると言われています。
僕の感覚だと、ドラムを始めてからグリップについて特に習ったりしなければ、 高確率でフレンチグリップになるようです。
また、アメリカングリップはジャーマングリップとフレンチグリップの性質を 併せ持っていると言われています。

僕はジャーマングリップでずっとやっていて、ある日ふとフレンチグリップを 試してみたら笑っちゃうほど連打ができなくてビックリしたことがあります。
ある教則本によると、ジャーマングリップとフレンチグリップはそれぞれ使う 筋肉が全然違うので、応用が利きにくいものだそうです。

ドラムを始めるときは、自分がどっち方面のドラマーになりたいかを決めて握り方を 選んでからの方が良いかもしれませんね。
普段叩いているのがバリバリのパワー系なのに、身についているのはフレンチグリップ。 というのは少しもったいない気がします。
まあもちろんフレンチグリップでも大きな音は出せますが・・・。


また、レギュラーグリップについてですが、これはそもそも行進曲のための ドラム(肩から斜めにかけて装着し、歩きながら叩く)で、斜めになったタイコを 叩くためにこの握り方が用いられたそうです。
現在のドラムの形態でもレギュラーグリップを好む方が多く、特にジャズの方や、 プロドラマーの方に多く見られます。
なんかレギュラーグリップというだけで、すごい巧い人なイメージがありますね。

最近は僕もレギュラーグリップに憧れを持つようになり、少しずつ練習してみて いますがやはり勝手が全然違い、面白いです。


柔道の上級者は、相手が胴衣の帯を締める様子を見ただけで実力を量ることが できると聞きます。
初対面のドラマ-のグリップを見ただけで、そのドラマーのタイプを当てる・・・。 さすがに無理か。

動きの柔らかさ

私の動きは非常に硬く、ビデオ等でチェックすると軽く死にたくなります。
この問題は私にとってドラムを始めてからずっと考えてきたテーマであり、 様々な対策を実行してきました。

最初の頃(と言ってもごく最近までですが)、動きの硬さとは「骨格」や「筋肉」 の硬さからくるものであると思っていて、毎日柔軟体操をやったりしていました。 特に思い詰めたときなどは酢を飲んだりしていました。
しかし体はどんどん健康になりますが動きは一向に柔らかくならず、 残念ながら効果は表れませんでした。周りの人にも失笑されました。

まあよくよく考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、ドラム演奏での 柔らかさとは肉体そのものの柔らかさよりも動きそのものの柔らかさに 関係するのが大部分のようです。

私が今考えている動きの柔らかさには、「リズムのとりかた」と 「スティックで打面を叩く瞬間以外の腕(足)の扱い」があります。

黒人のドラマーなどは非常にリズミカルに見えるので、それだけで 柔軟性を感じてしまいます。

ちなみに余談ですが、日本人は農耕民族なので畑をクワで耕す動き (音楽で言うと拍子の頭で沈み込むような動き)が得意で、欧米人は 狩猟民族なので(?)拍子の頭で伸び上がるような動きが得意であると いう話を聞いたことがあります。

また、スティックで打面を叩く瞬間以外の腕(足)の扱いに余裕が 感じられれば柔らかさにつながるかとも思います。
力の抜け具合とか、スティック(腕)の振り幅とかがそうですかね。
私的にはこれを育てたいのでスティック回しとか練習してるのですが、 果たして効果があるのかどうか・・・。

総じて言うと、重心が安定しているのに大きな動きや複雑な動き、 脱力ができるようなドラムに動きの柔らかさを感じることができる気がしています。

色々なドラマーを見ていると、こればっかりは努力よりもセンスによる ところが多いと思うので半ば心が折れてしまっていますが、 諦めたら試合は終了と言うありがたい言葉もありますので、 意識はしていきたいです。