〜コラム的な戯言4〜






精神状態の安定

私のような小心者にとって、ライブのときの精神状態のコントロールは切実に 演奏に影響してきます。

普段どんなにたくさん練習していようと、精神状態が不安定なためにその成果を 全然発揮できないというのは非常にくやしいものです。

まわりの環境に助けられて、勢いで乗り切ってしまえることもありますが、常に 安定して実力を発揮できるということはやはり理想的ですね。


そこで最近知って実践し、ある程度効果があるな。と実感できたものがありますので 記してみます。

それは「コヒーレンス法」というものです。
有名らしいので、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれません。


精神状態が影響して演奏が不安定になるまでの過程を考えると、


 何らかのプレッシャーが自分にかかる。
  ↓
 心臓がドキドキする。
  ↓
 冷静に物事を判断できなくなる。
  ↓
 演奏に影響してしまう。


という感じかと思います。

そこで、まず深呼吸により心臓のドキドキを(無理矢理)収めて、冷静に判断できるようにする。 というのがコヒーレンス法です。

今までは精神状態が不安定になったとき、「何らかの方法でテンションを上げてごまかす」とか 「何らかの方法で気分を落ち着かせる」という、「脳」に直接アプローチをかけるような 方法で乗り切ろうとしていましたが、まず先に「心臓」にアプローチをかけるという発想です。

ただ深呼吸をするだけなら今までも実践していましたが、コヒーレンス法はただの深呼吸とは 少し違い、筋トレのように日常的に行うことで、いざという時に効果を発揮します。

その方法とは、


@イスに座って目を閉じてリラックスする。

A4秒鼻から吸う、4秒口から吐く、という感じの深呼吸をしばらく行う。
(※このとき、鼻・口で空気の出入りを感じるのではなく、胸の心臓あたりに 穴があって、そこから呼吸しているようなイメージでやる)

Bしばらく深呼吸をして鼓動を落ち着けた後、深呼吸を続けながら自分の 落ち着けるような「イメージ」を頭に浮かべる。
(※大草原で風が吹いているイメージとか、家族・仲の良い友達のことを考えるとか、 自分に合ったやつ)


・・・というものです。

僕なりの解釈としては、これを毎日行うことで「深呼吸」と「落ち着けるイメージ」を 1セットとして定着させ、心臓の鼓動を収める効率を上げる方法だと考えています。

つまり精神状態が不安定になってしまうような場面で深呼吸を行うことにより、同時に リラックスできるイメージもわいてきて、効率よく心臓の鼓動を収め、脳が冷静な判断を 取り戻す。というものかと。

まだ完璧とは言えませんが、この方法をしばらく実践し、かなり効果があるなと今では思えています。


自分を小心者であると思っている方がいたら、是非試して頂きたいお勧めの方法です。
ドラム演奏だけでなく、日常生活でも役立ちそうですしね。

僕は夜寝る前と、朝時間があるときにやっています。(泥酔した晩はやっていませんが)

お問い合わせについて

先日パラディドル、一つ打ち二つ打ち、シングルストローク、ダブルストロークについての お問い合わせを頂きましたので僕なりにまとめてみたいと思います。

一つ打ち=シングルストローク、二つ打ち=ダブルストロークでありますので、 パラディドル・シングルストローク・ダブルストロークの3つについて書いてみます。


まず手技についての技術は大きく分けて「叩き方の種類(フルストローク、アップストローク ・ダウンストローク等)」と「手順」の2種類に分けられるかと思いますが、上の3つは いずれも「手順」に関する呼び名であります。

これはドラムセットやスティックを用いなくても、イスに座って足のモモを叩いたりして 確認することができます。


シングルストロークとは、右左の手で交互に一発づつ叩くことです。これは一番単純ですね。 単純なフィルインは多くの場合シングルストロークで対応できます。


ダブルストロークとは、同じ方の手で2回連続叩くことです。右手での2連続でも、左手での 2連続でもダブルストロークです。

ここも参照して 頂ければ幸いです。


そしてパラディドルとは、シングルストロークやダブルストロークを組み合わせたものの 総称です。

パラディドルには様々な種類がありますが、ただ単純に「パラディドル」と言う場合は 「シングルパラディドル」を指す場合が多いようです。
そこでここではシングルパラディドルについて書いてみます。

シングルパラディドルの手順は、「右左右右左右左左」です(右手スタートの場合)。 この手順を再現するだけでも立派なパラディドルですが、一般的には「1発目」の右手と 「5発目」の左手を強めに叩いてアクセントをつけて練習します。

パラディドルは基礎練習として非常に有効だと思いますが、ドラムセットに応用した場合に フィルインやリズムパターンにも対応できたりします。

こちらも参照して 頂ければ幸いです。


・・・とまあこんな感じで書いてみましたが、読み返すと以前書いたものとほとんど 変らないですね。わかりにくくて申し訳ないです。

究極のドラムとは?

ドラムに限らず、何かを鍛錬し上達させるために「ゴール」や「目標」をイメージするのは とても大切なことだと思います。

普段は自分の尊敬するドラマーであるとか、自分の欠点の克服を目標にして 練習したりしていますが、それをもう少し極端にして「究極のドラム」という、 かなり大それたテーマについて考えてみたいと思います。


まず「究極のドラム」を考えたときに、凄まじいテクニックを持った世界の スーパードラマーの方々が頭に浮かびます。

当然のことながら「究極のドラム」に最も近い方々でしょう。


しかし彼らを見ているとついついその「技術」ばかりに目がいってしまいますが、

「究極の技術を持った人」=「究極のドラマー」

なのかというと、少し違うような気がします。なぜならドラムで表現すべきことは、 技術の凄さだけではないからです。

スーパードラマーの方々も、その技術の他に「何らかのもの」を持っているからこそ、 多くの素晴らしい評価を得ているのだと思います。


そこでドラムを演奏するにあたり、最も重要なことは何か?を考えると、

「聴いている(観ている)人をどれだけ感動させることができるか」

というものがあると思います。
※自己実現・昇華の手段という考え方もありますが、今回はとりあえず置いておきます。


ドラムで楽曲を演奏するにあたって、終始テンポを崩さず、テクニックもあり、 ミスもせず。というようなことも素晴らしいことだとは思いますが、例え テンポがグチャグチャでミスもしまくりな人でも、聴いている(観ている)人に 感動の涙を流させることのできるドラマーの方が僕は素晴らしいと思っています。


そこで今回は「一人でも多くの人を、より大きく感動させられるようなドラマー」 を「究極のドラマー」であると仮定して考えていきたいと思います。


何をもって聴いている(観ている)人が感動するのかというのは非常に難しいテーマで ありますが、演奏で喜怒哀楽を表現し、共感から感動を引き起こすというのが、 とりあえずはわかりやすい姿勢かと思います。


ライブで曲を演奏する際、お客さん一人一人によっても好みの音のバランスや心を 動かされやすいテンポ等が違ったりするかと思いますので、その辺は演奏する人の 「空気を読む能力」みたいなものに深く関わっているような気がします。



また、技術そのものが直接感動を与える場合ももちろんありますが、それは「音楽」に 感動していると言うよりも、「人体の動作のすごさ」に感動している(サーカスみたいな) ような気がします。グルーヴなるものも含めて。


では技術はそんなに重要ではないのか?と言うと、そんなことはまったくありません。 技術はどちらかと言うと、感動を与える為の手段の一つだと思うのです。


例えばある人が大勢の人間の前でスピーチをする場合、その人がたくさんの 「単語」を知っていれば、より大勢の人が理解できるような、感動させられるような 「単語」を選択できるかもしれません。


ドラムにおける技術もそれに似たところがあって、表現の幅を広げるための 手段であると思うのです。

つまり「究極のドラマー」を考える以上当然の事かもしれませんが、技術は 高ければ高いほど良いという事になります。

・・・本当に当然すぎるほど当然な話ですね。



さて、ここで今僕が考えている「究極のドラマー」とは何かをまとめると、

聴いている(観ている)一人でも多くの人を、最も大きく感動させるということを目的とし、 それに対して最も効果的である演奏(もちろん他のパート等の周囲の環境、自分の表情や 汗等の視覚的要素も考慮に入れて)を選択し、実践できる技術を持ったドラマー。 ということになります。


もう少し具体的に言うと、


・人体の限界まで強く叩くこと、弱く叩くことができ、その範囲を自在に表現することができる。

・人体の限界まで速く叩くこと、遅く叩くことができ、その範囲を自在に表現することが できる(テンポが自在であることも含む)。

・あらゆる手順(足順)を瞬時に判断し、再現することができる。

・ドラム演奏に関わる全ての器材の性質を熟知し、能力を引き出すことができる。

・まわりからの音の全てを理解し、それに対応(前ノリ・ジャスト・後ノリ等自在に) することができる。

・自分の演奏に伴う動作(ファッション等も含めて)が、観る側にどのような評価を されるのかを理解することができ、対応することができる。

・以上の要素を、聴いている(観ている)側の人数と感動の大きさ(質も考慮して)の総量が 最大となるように自在に表現することができる〔バンド形態の場合、自分が他のメンバーに 与える影響が間接的に聴いている(観ている)側の感動につながる場合も考慮する〕。



こんな感じでしょうか。
発汗や香水による匂い(味)が与える影響などの人間の五感全て の要素や、事前の情報操作によるイメージの刷り込み等まで考えに入れるとさらに 範囲は広がるかもしれません。


・・・だからどうした?と言われそうですね。