自宅でも気軽に出来るパッドでの練習方法をいくつか紹介します。

極端な話、1日1分でもいいので毎日続けることが大きな効果を生みます。


ゆっくりフルストローク

ドラムを叩くことに慣れてくると、つい忘れがちになってしまいますが、 ドラムセットで楽曲を演奏するに当たっては、ほとんどのストロークは 直前のストロークの反発を利用したものになっているはずです。
これは無駄な力を使わず、合理的なスティック運びには不可欠なもの ですが、こればかりに慣れてしまうと1発1発のストロークがおろそか になり、より上の段階へステップアップするための妨げになってしまう 可能性があります。

そこで、定期的に「前のストロークの反発を利用しないようなストローク」 を練習しておくことが必要かと考えられます。

ゆっくりとフォームを意識しながらフルストロークを行い、体に染み込ませ ます。また、ドラムセットでもそのフォームを意識しながら演奏することが 大切です。

休符移動

譜面に慣れていない場合「休符」ってなんぞや?と思う人もいるかと思います が、この場合はまずパッドを「右手→左手→右手→左手」と交互に4回叩く ことを考えてください。ここで2発目の「左手」を叩かなかった場合、 「右手→休み→右手→左手」となり(※「左手」で叩かなかった場所は、叩いた 場合と同じ時間だけ間隔をあける)、叩かなかった2発目の間隔部分が「休符」 となります。

そしてこの「休み」の部分を3発目、4発目・・・と変えていくことを 「休符移動」と呼びます。同じパターンを8セットづつくらいやって「休み」 部を移動させるのが良いかと思います。

果たしてこれが何の役に立つの?というところですが、これを練習することで、 「手順の重要性」というのを理解することができるはずです。

ドラムを始めたての頃は、曲のフィルをコピーするときに

「叩いている場所は何となくわかるけど、手順(右手・左手の内訳)がわからない」

という場合があり、手順を適当にしてしまっている人もいるかと思います。

しかしバンドで合わせた時にはそれで通用してしまったとかで、そのまま適当な 手順で納得してしまうのはとてももったいないことです。
なぜなら、より上の段階に行くためには「音と音の間隔で出すノリ」というものが とても重要だからです。

つまり合理的な手順を体に染み込ませることにより、「適当」で済ませていた 手順がどのような理論の上に成り立っているのかを理解しやすくなり、結果的に 「音と音の間隔で出すノリ」を出しやすくなるのです。

・・・などと偉そうに語ってしまいましたが、上のような4回叩く場合の休符移動 は非常に簡単で、


 「休み→左手→右手→左手」
 「右手→休み→右手→左手」
 「右手→左手→休み→左手」
 「右手→左手→右手→休み」


の四つのパターンをそれぞれ練習すれば、かなりのレベルアップになるはずです。

他にも「休み」の部分を2箇所にして(例えば「右手→休み→休み→左手」とか)を 繰り返したり、3連系で休符移動を行ったりと可能性は無限ですので、暇なときに 研究してみると後々に必ず役に立つかと思います。

また、合理的な手順を理解することで、聴き取りづらかった楽曲のフィルもコピー しやすくなるでしょう。

アクセント移動

「大きくてキレがあり、芯があって腹に響くような音」を鳴らすために、 パワーとスピードだけに意識が行ってしまった時期がありました・・・。

確かに聴いている人の心を揺さぶるためには、大きくて存在感のある音の 存在は不可欠である場合も多いかと思いますが、楽曲をより感情的に表現 するためには、同じくらい「小さな音」の存在が重要であり、またそれらを 使い分けられるような「強弱に対する感覚」を養うことが求められます。

「アクセント移動」はそのような「強弱に対する感覚」を鍛える練習法の 第一歩です。

手順は上記の「休符移動」と似ていますが、左右の手で交互に4発叩いた 場合を考え、


 「右手(強)→左手(弱)→右手(弱)→左手(弱)」
 「右手(弱)→左手(強)→右手(弱)→左手(弱)」
 「右手(弱)→左手(弱)→右手(強)→左手(弱)」
 「右手(弱)→左手(弱)→右手(弱)→左手(強)」


の4パターンが最も簡単で覚えやすいかと思います。

「(強)」の部分で強く叩くのがアクセントになり、8セットづつくらいで パターンを入れ替え、アクセントを移動させていきます。

ついついアクセントに意識が集中してしまいそうになりますが、ここで重要 なのが、やはり「(弱)」の部分を「いかに小さく叩くか」であり、これを意識 することによって「強弱に対する感覚」が鍛えられると思います。

チェンジアップ

 メトロノームのクリック音の間に叩く回数を

「1発、1発、1発、1発、2発、2発、2発、2発、3発、3発、3発、3発、
4発、4発、4発、4発、5発、5発、5発、5発、6発、6発、6発、6発、
7発、7発、7発、7発、8発、8発、8発、8発、・・・」

と増やしていくもの(別に4回ずつじゃなくてもいいです)。
逆に回数を減らしていくのを「チェンジダウン」といいます。
 難しく感じる人は、それと同じ文字数の単語を口にしながらパッドを叩くと 感覚がつかみやすいと思います。3発なら「レタス」、6発なら「マクドナルド」 とか・・・。 

ダブルストローク

1回のストロークで打面を2回連続(同じ手で)叩くことを「ダブルストローク」と いいます。

ダブルストロークは意識して練習しないとなかなか身につかないため、日々の地道 な練習が必要です。

感覚的には、腕には普通のロック系の曲のコピーだけでは鍛えることのできない 「ダブルストローク筋」みたいなものがあるんじゃないかと思えるほどです。

このダブルストロークを用いたフィルには、かなりおいしいものがたくさんある ため、身に付けない手はありません。

最初はかなりゆっくりなスピードでストロークのフォームを重視し、 「右手2発、左手2発・・・」と叩いていきます。

慣れてきたらスピードをあげて練習しますが、速くてもきれいなダブルストローク を生み出す為にはフォームの乱れが命取りになりますので、あせらずフォームを 維持できるようなスピードで練習します。

これはダブルストロークの練習ではありますが、単純にシングルストロークの強化 にもかなり有効ですので地味ですが非常におすすめな練習方法です。

パラディドル

「パラ」とは「右手と左手で交互に1発ずつ叩く」という意味で、「ディドル」とは 「右手か左手のどちらかで連続2発叩く」という意味で解釈しています。

つまり「パラディドル」とは「右手と左手を交互に1発ずつ叩いたり、同じ手で 連続2発叩いたりするのを組み合わせた手順の総称」のことです。

パラディドルの中でも最もポピュラーなものが「シングルパラディドル」と呼ばれ、 「パラ」と「ディドル」を一回ずつ交互に行います。手順は


右・左(→パラ)・右・右(→ディドル)・左・右(→パラ)・左・左(→ディドル)


となります。これで一セットです。

一セットの中に「パラ」が二回出てきますが、それぞれの1発目を強く叩いて アクセントをつけるのがポイントです。また、それ以外の6発はできる限り弱く 叩きます。

パラディドルは非常に優れたストロークの練習になります。

なぜなら一セットの中に「ダウンストローク」、「タップ」、「ダブルストローク」
3種類のストロークが含まれているからです。

手順の中では、


右(ダウンストローク→※アクセント)・左(タップ)・右・右(ダブルストローク)・
左(ダウンストローク→※アクセント)・右(タップ)・左・左(ダブルストローク)


ストロークの強化のほか、叩く場所をタムやシンバルに移動させてフィルへの応用や、 右手をハイハット(ライド)、左手をスネアにおいてリズムパターンとして使って しまったりもでき、本当に便利です。

最初はゆっくり手順を確認しながら練習していき、徐々に体に染み込ませます。

また、この手順はシングルパラディドルの中で「ストレートパラディドル」と 呼ばれる最もポピュラーなものですが、シングルパラディドルには他に以下の ような手順のものがあります。


右・左(アクセント)・右・左・左・右(アクセント)・左・右 → ディレイドパラディドル

右・右・左(アクセント)・右・左・左・右(アクセント)・左 → リバースパラディドル

右・左・左・右(アクセント)・左・右・右・左(アクセント) → インワードパラディドル


パラディドルには他にも種類がたくさんあり、「パラ」を2回に対して「ディドル」を 1回やる「ダブルパラディドル(パラパラディドルということ)」や、「パラ」を3回に 対して「ディドル」を1回やる「トリプルパラディドル(パラパラパラディドルということ)」、 シングルパラディドルを3連譜に当てはめる「パラトリプレッツ」などがあります。