生まれながらにしてリズム感の優れている人もいますが、私のようにリズム感が とても痛い人間にとってリズムキープは一生の課題であり、いかにして仲間たちに 迷惑のかけないドラマーになれるか。が重要なテーマであります。

今もあまり自信はないですが、様々な練習法に出会い、最初に比べれば100倍は マシにはなっていると思うので、その練習法たちを記したいと思います。


体のどこかを揺らしてリズムを取る

今まで練習してきた中で特に有効であると思われた方法として、

「左足を小刻みに揺らしてリズムを取る」

というのがあります。
ドラムを始めたての頃は、動かさなくてはいけない手や足にばかり意識が集中して しまい、全体のバランスなどを考える余裕はほとんどなく、リズムキープの方法 などまったくわからずに毎夜枕を濡らしたものでした。

そんなときに知ったのが「左足を小刻みに揺らしてリズムを取る」という方法でした。

最初はまったく実践できずにイライラしますが、簡単な8ビートから右手に合わせて 左足を揺らすように練習していき、フィルなどの間も左足の揺れが乱れないように 意識します。

慣れれば驚くほどリズムの流れが読める・・・と言うほど大それたものではありません が、今までより格段にリズムを楽しめるようになるはずです。

左足でリズムを取るのが一番お薦めですが、左足の他にも「頭」、「腰(丹田)」、 「胸」でリズムを取る方もいらっしゃるようです。 

メトロノームを「裏」でとる

これは非常に効果のある練習法で、かなりおすすめです。

ロック系のドラムのコピーばかりやっていると、なかなかリズムの 「裏」に対する感覚を鍛える機会が少ないかと思います。
そこでメトロノームを「裏」でとる練習をすることで、リズムの 「裏」に対する感覚を鍛えます。

ドラムを始めたてだとメトロノーム自体にすら抵抗を感じる人も 多いかと思いますが、この練習法に慣れれば「裏」に対する意識が 革新され、まるで今まで白黒テレビだったものがカラーテレビに 変わったような感動を味わえると言ってしまっても過言ではないと 思います。つまりリズム感が鍛えられるばかりではなく、質の違う 感覚を身に付けることによって、今までよりもっともっと「音楽」 を楽しめるようになるということです。

・・・ちょっと熱くなりすぎましたか。

でもそのくらい効果的な練習法なのです。

初めての人は、まずメトロノームをゆっくり(BPM50〜80くらい)に 設定し、スティックは持たずにクリックを聴くだけにします。
そしてクリックに合わせて

「1 と 2 と 3 と 4 と ・・・」

と声を出して数えていきますが、「と」の部分をクリックが鳴る タイミングに合わせ、数字の部分をクリックとクリックとの間に 言えるように練習します。

コツは数字の「1」から数え始めるのではなく、「と」から声に 出し、

「と 1 と 2 と 3 と 4 と ・・・」

という風に数えていきます。
まずはこれで「裏」に対する感覚に慣れ、次にスティックを持って メトロノームの裏をとりながら、練習パッドかスネアのみで適当に 叩いてみます。そして普通にドラムセットを叩けるようにまでなれ ば、「裏」に対する感覚がかなり鍛えられたと言っても良いでしょう。

この練習法はドラマーだけでなく、ギターやベース、金管の人にも 幅広く愛されているようです。

ドラムを録音して聴く

非常にめんどくさがられる練習法ですが、これがかなり重要です。

自分が演奏しているときは気付かなくても、誰しも演奏にはクセという ものがあり、ドラムでは一つ一つの音の「間隔」に現れやすいものです。

つまり音の間隔が「詰まっている」部分と「間延びしている」部分が できてしまうわけです。これを自分で意識的に楽曲の表情に合わせて 使い分けられるならば理想的ですが、大抵はまったく気付いていない 場合が多いようです。

しかもこの症状はメトロノームを使用しても気付くことができないのが ミソです。クリック音の間隔内で無意識に「詰まっている」部分に対して 「間延びしている」部分を作り出してつじつまを合わせてしまうため、 いつまでも気付くことができないのです。

ときどき「メトロノームはドラマーを殺す」みたいな説を耳にすることが ありますが、その理由はこれによるものが大きいのではないでしょうか。

そこで「自分のドラムを録音して聴く」という方法が必要になってくる わけです。バンドでの演奏を録音するのは良くやるかもしれませんが、 これだと他の音に紛れてドラム音の細かな間隔がわかりにくいので、 やはりドラムだけで録音するのが良いと思います。そしてそれを繰り返し 聴き、自分の悪いクセを一つ一つ見つけて次回の練習時に意識するという ことです。

この「クセ」はそれぞれ独立していることが多いため、一つ改善しても 連鎖的に他の部分が改善されるということが少なく、とても膨大な作業に なります。僕の習っていたドラムの先生は「一生の課題」とおっしゃって いらっしゃいました。

しかし全ては最高に気持ちの良い演奏をするため・・・。道は遠いですね。